理学療法の現場から
消費者(利用者)インセンティブのもと枠を越えられるのか
髙見 彰淑
1
1秋田県立脳血管研究センター脳卒中診療部
pp.433
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106056
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利用者への情報提供と品質管理
現行の公的保険診療は,ある一定水準の医療サービスを基軸に公平性が前提となっている.理学療法も一定の単位時間で定額の出来高払いがなされている.しかしその内容が,一定水準のもとで保持されているのかどうかは不透明な点が多い.これはプログラムの相違ではなく,医療のクオリティ格差の問題である.利用者である患者が,一定水準以上のサービス提供が受けられたかどうかが不明瞭なのである.一般の商品やサービスのように利用者が自由に選択することは,情報公開の少ない病院機能枠の中では困難であり,利用者本位に医療を受けることができない可能性がある.事実,急性期病院である当センターから,複数のリハビリテーション専門機関転院の際,多くのケースは選択因子として,自宅や駅に近いなどの交通利便性を重視し,病院機能,リハビリテーションシステムの評価もしくは情報収集に対す意識は希薄な印象を持つ.さらに,紹介元の医療機関も情報不足の傾向があるように思われる.
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