特集 高齢者の転倒
高齢者の転倒予防に対する介入効果
島田 裕之
1,3
,
内山 靖
2
,
加倉井 周一
3
Shimada Hiroyuki
1,3
1介護老人保健施設二ツ箭荘
2群馬大学医学部保健学科
3北里大学大学院医療系研究科
pp.315-322
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106033
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はじめに
高齢者の転倒予防については,北米を中心として精力的に介入の成果が報告されているが,対象者や介入方法などの違いによって,その効果の是非は必ずしも一定していない.
また,高齢者の身体機能は同年齢層においても大きく異なる.特に疾病により入院中の者や施設に入所している者の機能低下は著しい.地域に在住する健常高齢者と比較し,病院や施設を利用する虚弱高齢者は転倒率が高く,住環境,活動量,活動範囲が著しく異なっている.そのため,これらの対象を混同して転倒予防の介入手段を考えると混乱を招く恐れがあり,ここでは地域在住高齢者と病院・施設入所高齢者を分類して介入研究を概観していく.介入手法は,①運動介入(運動の種類における効果の違い),②非運動的介入,③多角的介入に分類して,それぞれの効果について考察した(表1).なお,引用した研究は無作為抽出臨床試験,およびよくデザインされたケースコントロール研究に限定し,理学療法分野と関係の深い運動介入や環境調整の効果に言及していることを条件とした.
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