書評
―井上泰(著)―学生のための疾病論―人間が病気になるということ―臨床で役立つわかりやすい病態生理学読本
石倉 隆
1
1広島県立保健福祉大学理学療法学科
pp.878
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105940
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臨床家として病院に勤務していた頃,カルテや処方箋に記された疾病の病態生理についての理解が乏しく,専門書を紐解いていたことを思い出す.理学療法士は,疾病に起因する機能・能力障害の概要は十分に理解していると思われるが,その生理学的機序や内科的な病態を理解しているかといわれればいささか心もとないものである.しかし,内科的な部分も含めた疾病の病態生理を理解することは,科学的根拠に基づく理学療法が求められている昨今では非常に重要なことであり,患者の体調やリスク管理を行なう上でも欠かすことのできない知識である.とはいうものの,様々な疾患が理学療法の対象となる現在において,全ての疾病の病態生理を理解することは頭底困難なことであると思われる.
筆者はこれまで病態生理の理解のために書物に頼ることが多かったが,この手の教科書や専門書は基本的な知識の不足も手伝って,非常に難解なものが多かったように思う.しかし,今回刊行された井上泰先生による「学生のための疾病論一人間が病気になるということ」は,理学療法士の病態生理の苦手意識を払拭させる一冊になりそうである.
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