プログレス
PNFによる集中的運動療法の機能回復効果
弓場 裕之
1
,
白浜 幸高
1
,
二俣 麻里子
1
,
川平 和美
1
1鹿児島大学医学部附属病院霧島リハビリテーションセンター
pp.758-761
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105908
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はじめに
近年のニューロサイエンスの発展によって,残存神経組織の機能変化や軸索,樹状突起の伸長,シナプス結合性の強化等による脳の可塑性が麻痺の回復に重要な役割を演じていることが知られるようになってきている1-5).しかし,理学療法手技の1つであるファシリテーション手技はその神経生理学的根拠に基づいて発展しているにもかかわらず,そこでは伝統的な健側強化運動が依然として支持されているのも事実である.その理由として,客観的データの不足,特に片麻痺に対する治療効果の具体的なデータがほとんど無く,基本動作と結びつけた報告が大半で,従来の健側強化運動と比較してあまり差異がない6-9)という評価しかなされていないことが挙げられる.
今回我々は,従来の伝統的運動療法を入院時より継続しながら,麻痺側下肢の随意性を高めるためにPNFに基づいた集中的分離促通運動(以下,集中的運動療法)を2週間ずつ2回追加併用し,より高い随意性の獲得と筋力の向上を認めた.この誌面を借りて若干の修正を加えた集中的運動療法の内容とその効果について報告する.
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