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特集 疼痛の理学療法
腰痛に対するPNFの適用
Application of PNF Techniques to Low Back Pain
高橋 護
1
Mamoru TAKAHASHI
1
1山田温泉病院
1Yamada Hot Spring Hospital.
pp.802-807
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103683
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はじめに
腰痛は2足歩行によって移動するに至った人類の宿命であるといわれ,日常これを愁訴としている人は少なくない.事実,われわれの日常業務の対象患者としても,肩・頸・膝の痛みとともに,きわめて多い.しかし,患者各人の訴える症状・痛みの程度・発生機序が個人によって異なっており,どのように治療・訓練を行っていけばよいのか,われわれPTを意外に苦しめているのが現状ではなかろうか.
本邦における腰痛の治療・訓練は,伸展障害(椎間板ヘルニア,辿り症など)にはWilliams法を,屈曲障害(椎骨圧迫骨折など)にはBohler法と,定型化されすぎた治療・訓練指示が一般的に行われている.しかし,腰痛の治療・訓練は上記2法のみではなく,多くの冠名体操が提唱されている1~4).例えば,Calliet法は,Williams法とともに伸展障害を対象とし,主として腹筋強化,骨盤後傾運動を行う.Lawman法は,腹筋強化,背筋強化,背筋伸張,ときほぐし運動,腰仙部体操のサブ・グループに分れ,Kraus-Weber法は基礎的な体力の獲得を目的とし,テストと筋力強化訓練とをうまく組合せている.この外にもPheasant法とか,最近提唱され始めたMackenzie5)法などがある.
このように多くの治療・訓練法が提唱されているということは,腰痛の症状や徴候が各患者によっていかに多様であるかを示し,そしてこのことは,腰痛の治療がいかに困難であるかを物語るものでもある.
本稿では,腰痛に対するPNF法を用いた治療・訓練について述べてみたい.
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