特集 理学療法士のアイデンティティー
理学療法士として生きる―個人の立場から
理学療法士のアイデンティティーと理学療法学/理学療法士のアイデンティティー―基礎研究の立場から/理学療法士の専門性を基盤として/福祉・保健領域のPTの立場から/理学療法士の“専門性”の集大成/「個」の確立と職業としてのアイデンティティー/理学療法の専門性を学問体系として確立するために/組織としてのアイデンティティーを考える
坂本 年将
1
,
山崎 俊明
2
,
大峯 三郎
3
,
久富 ひろみ
4
,
秋田 裕
5
,
遠藤 敏
6
,
松永 広枝
7
,
菅原 巳代治
8
1マサチューセッツ工科大学脳・認知科学科
2金沢大学医学部保健学科理学療法学専攻
3産業医科大学病院リハビリテーション部
4東京都多摩市福祉部健康課
5横浜市総合リハビリテーションセンター機能訓練室
6慶應義塾大学病院リハビリテーション科
7東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻博士課程
8秋田厚生連仙北組合総合病院リハビリテーション科
pp.17-31
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105468
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1.理学療法士のアイデンティティーとは
「アイデンティティー」の邦訳をあれこれと考えてみたが,どうもぴったりする言葉が見つからない.辞書には「身分証明書」という訳語もあるが,理学療法士の免許証について議論することが今回の特集の目的ではないようだ.少し意訳して今回の議論を定義するなら,「理学療法士とは何か」ということになるだろうか.
「理学療法士免許証」は“ID”にはなるが,問題への十分な解答にならないことは明確である.ここではIDをもった人の仕事の中身を議論することが目的だ.「高価な車に乗っている」などは立派なステータスシンボルにはなるが,理学療法士のアイデンティティーを決定するものではない.「斬新な髪型」の類は,アイデンティティーではなく,トレードマークである.プロテニスプレーヤーのアンドレ・アガシの甘いマスクにアガシを感じる女性ファンがいるかもしれないが,私はやはり彼が強烈なショットを相手コートに打ち込めるからこそ,アガシなのだと思う.
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