特集 進行性疾患―QOL向上への取り組み
在宅脊髄小脳変性症患者のQOL向上に向けて
小町 利治
1
,
笠原 良雄
1
,
出倉 庸子
2
,
新美 まや
2
Komachi Toshiharu
1
1東京都立神経病院リハビリテーション科
2東京都立神経病院
pp.471-478
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105345
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1.はじめに
脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration;SCD)とは,小脳性または脊髄性の運動失調を主症候とし,小脳や脊髄の神経核や伝導路に病変の首座をもつ原因不明の変性疾患の総称である1).一般に経過は緩徐であるが進行性で,病型によっては遺伝性に発現する.また,自律神経症候や錐体路症候,錐体外路症候を示す例もあるなど,臨床像は極めて多彩である.しかし,進行性で長期経過をたどることから療養者本人・家族にかかる負担は大きい.そのため,療養者・家族の生活の質(QOL)の向上は大きな課題といえる.
SCD患者のQOLをめぐっては幾つかの報告があるが2-11),今回,理学療法アプローチを述べるに当たり,質問紙によって得点化したQOLと,QOLに及ぼすと思われる種々の要因について,調査票を用いてアンケート調査を行った.本稿では,その結果と東京都立神経病院(以下,当院)での在宅診療の経験を踏まえて考察を加えることにする.
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