報告
慢性関節リウマチ・変形性膝関節症患者のTKA術前・術後の筋力の推移について
前川 昭次
1
,
今井 至
1
,
平岩 康之
1
,
福田 眞輔
2
Maegawa Shoji
1
1滋賀医科大学医学部附属病院リハビリテーション部
2滋賀医科大学医学部附属病院
pp.435-438
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105334
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はじめに
人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)は下肢人工関節のなかでも最も頻繁に施行される手術で,最近では材質,デザイン等の進歩により安定した長期成績が得られるようになり1),我々理学療法士にとっても,特に整形外科術後の患者が主体の施設では最も遭遇する機会の多い手術の1つである.にもかかわらず,TKA術後の理学療法に関する報告は予想以上に少なく,とりわけ方法論に言及した報告はごく僅かである.したがって,それぞれの施設や整形外科医が作成した術後のプロトコールに沿って画一的な理学療法が施行されているのが現状であるといえよう.
TKA術後の理学療法は一般的に関節可動域(ROM)の改善,筋力増強,歩行訓練が主体となる.そのなかで筋力増強は,大腿四頭筋を中心に実施され,術直後ではセッティングより開始し,徐々に抵抗運動へと移行することが通例である.この方法は確かに効果的で,普遍的ではあるが,術後退院までの数週間に施行すること,筋機能だけでなく,関節自体の運動機能の改善を目的としていること等を前提にした場合,果して最適な手段であるかという疑問が残る.この点については,術前から術後にかけて筋力の推移を観察した報告が散見されるが,術後の筋力増強法については,一般的な方法を踏襲している.
そこで筆者らは,以上の問題点および疑問点から,術後の最適な筋力増強法について再考するに至った.この報告では第1段階として,TKA患者をRA群およびOA群に分け,術前,術後3週,術後6週の筋力の推移およびその他の測定値がどのような傾向を示すかを検討するものである.
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