報告
エアーバッグ訓練用義足の使用経験とその臨床的意義
前川 昭次
1
,
今井 至
1
,
平岩 康之
1
,
福田 眞輔
1
,
川村 次郎
2
,
入江 雄二
3
,
富永 晟浩
3
,
駒井 啓二
3
,
神田 昭光
3
Maegawa Shoji
1
1滋賀医科大学医学部附属病院リハビリテーション部
2大阪労災病院リハビリテーション診療科
3川村義肢株式会社
pp.208-211
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104506
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
切断術後,できるだけ早期から義足を装着し歩行訓練を行うことは,単に断端の成熟を早めるだけでなく,切断者の全身機能面,精神面において多大な効果を与える1).この考え方の代表的なものとして,術直後義肢装着法があるが,早期に成熟断端が得られる,などの利点の反面,熟練した技術が要求される,断端管理が困難である,などの欠点が多く,特に本邦では施行する施設はかなり限定されていった1,2).
エアーバッグを利用した訓練用義足は,1971年にオーストラリアのLittle3)が発表して以来,欧米を中心に盛んに使用されるようになった2),そして現在では,特に高齢者の血管原性の切断者の術後訓練には不可欠なものとなっており,Redhead4),Raush5),Bonner6)らが多数の症例を経験し,その有用性について報告している.
筆者らは1985年より,試作したエアーバッグ訓練用義足を,主に術後早期から仮義足装着までの歩行補助具として使用し,良好な結果を得た7).
本稿ではエアーバッグ訓練用義足のシステムおよび使用経験の一端を紹介するとともに,このシステムが,臨床で使用していく上で,どのような役割を果たし得るかに関しても検討したので報告する.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.