Japanese
English
特集 赤血球膜の分子構築
総説
赤血球の糖脂質
Glycolipids in erythrocytes
飯田 静夫
1
Shizuo Handa
1
1東京医科歯科大学医学部第2生化学教室
pp.222-229
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903393
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赤血球は単一の細胞として集めやすい,また核など他のオルガネラがないために低張で溶血してヘモグロビンを除くと細胞膜成分だけが簡単に得られるので,生体膜を研究するのによい材料として古くからよく研究されている。しかし生体膜の代表としての赤血球膜の研究があまりにも有名であるだけに赤血球膜を生体膜とくに細胞膜のモデルとして考える場合には,概念的な生体膜を具象化した膜は実在せず必ずなんらかの意味で特殊に分化し特異性をもったものであり,数多くの具体的な事例から抽象し,体系づけられた生体膜の概念と必ずしも全面的に一致するものではないことを念頭におくべきであろう。赤血球膜で得られた結果がそのまま生体膜一般に通用するものでないことは分かり切ったことであるが,ややもするとこうした考えに落ち込みやすい。
赤血球膜は脳と同じ様に脂質の含量の多いことで知られている。ヒトの場合脂質,タンパク質,糖質の割合はほぼ4:5:1で糖質はタンパク質または脂質に結合して糖タンパクや糖脂質として存在している。
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