糖鎖の分析法・2
糖脂質の構造とその多様性
岩森 正男
1
,
永井 克孝
1
Masao IWAMORI
1
,
Yoshitaka NAGAI
1
1東京大学医学部第2生化学教室
pp.183-192
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913256
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1980年代に入って糖脂質が,かつてない程の注目を集めている.その理由は,細胞膜上の糖脂質分子が,細胞の癌化・分化・増殖などの基本的生命現象に深くかかわっていることが明らかにされ,より直接的には,糖脂質分子による細胞分化の制御の可能性が試みられ始めたことによる.また,モノクローナル抗体作製手法の応用により,癌,分化,細胞の種類に関連した抗原の検索が積極的に進められた結果,糖脂質が同定される例が頻繁に報告され始めたことも研究動向に拍車をかける大きな要因の一つになっている.細胞膜上の複合糖鎖には糖脂質と糖蛋白質があるが,分子の定性と定量に関しては,糖脂質のほうがはるかに容易であり,方法論はほぼ完成していると見てよい.この小論では,糖脂質の研究方法を中心に近年の研究動向を概説する.糖脂質の機能については,他の総説1〜7)を参考にされたい.
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