書評
―千野直一(編) 千野直一・木村彰男・正門由久・岡島康友(編)―臨床筋電図・電気診断学入門(第3版)
梶 龍兒
1
1京都大学医学部神経内科
pp.58
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104996
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本書はさきに同じ著者らによって1981年に刊行された第2版の改訂版である.第2版は当時,本邦において臨床応用が始まったばかりの筋電図,電気診断学の入門書として好評を得ていただけに,その後の筋電図を取り巻く環境のめざましい進歩に対応した改訂版の登場が長年にわたって待たれていた.この本はその期待に見事に応えている.
本書は大きく基礎編と症例編に分かれるが,主な神経筋疾患における電気診断上の特徴についても簡潔に触れられている.基礎編では,もはや筋電図という範疇でとらえることが難しいくらいに発展した電気診断学を学ぶ上で必要な知識が網羅されており,F波,H波,体性感覚誘発電位などの,その後の新しい知見についても補完されている.電気生理学的診断の方法についても写真や図を多用して分かりやすく記載されていて,初心者が効率よく電気診断学を学ぶのに適した内容となっている.一方,症例編では,実際に臨床の場で電気生理学的検査を行い診断をつける過程を学べるようになっている.
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