特集 理学療法の展望
21世紀の理学療法―私はこう考える
スポーツ分野の理学療法の現状の問題点と将来
前田 克史
1
Maeda Katsushi
1
1松田整形外科病院リハビリテーション科
pp.894-895
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104927
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,スポーツ医科学の重要性が認識され始め,スポーツ指導者・選手がそれを必要と感じ始めている.このような状況下のなかで,今後理学療法士(以下PT)はスポーツ医科学の分野でどのような役割を果たしていかなければならないだろうか.
スポーツ選手(ここでは競技スポーツのみならず,スポーツ愛好家,レクレーショナスポーツを含む)に対する理学療法は,一般人に対する理学療法とは異なる.治療ゴールが日常生活への復帰ではなく,競技活動,スポーツ活動への復帰におかれていることが特徴である.選手を可及的早期にもとの競技レベルまで復帰させるためには,物理療法,運動療法,補装具療法(足底板,テーピング等)等あらゆる理学療法手段をうまく組み合わせて治療していかなければならない.また,傷害によって損なわれた機能の回復のみならず,再発予防についても考慮しなければならない.そのためには,傷害の発生した要因を分析することは極めて重要であり,身体全体や環境面,トレーニング内容についても配慮する必要がある.また,傷害の予防に対し,選手の健康管理,メディカルチェックが重要となってくる.したがって,スポーツ選手に対する理学療法を円滑に進めていくためには,スポーツ現場との連携が重要となる.しかしながら,現状では,実際の現場に関わっているPTはごくわずかであり,また,現場と医療機関の橋渡しをするようなPTも少ない.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.