特集 ひとり職場の運営
すべては自分への帰結
佐藤 卓己
1
Sato Takumi
1
1老人保健施設/康楽苑
pp.701-704
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104849
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
岩手県内でひとり職場に勤務しているPTは,平成9年4月現在23名であり,岩手県理学療法士会会員総数189名に占める割合は12%である.
私もそのうちの1人であるが,これまで私は,PTのスタッフが比較的充実した職場に身を置いていた.そこでは特に組織の管理・責任者の立場にもなかったので,基本的に自分の担当業務を遂行するだけで問題はなく,空き時間を利用して自分の研究活動なども行えた.私が敢えてひとり職場に身を投じたのは,このような組織,ひいては人間関係に特に不満があったわけではない.ただ,リハビリテーションの一貫性を思うたび,機能訓練で患者をこなす毎日を過ごすにつけ,PTとしての自分に物足りなさを感じていた.
老人保健施設は障害者の機能レベルよりも,能力・社会的レベルを重要視するという意味で,私にとってリハビリテーションの一貫性を少しでも実感,実践するのに相応しい職場であった.そして,そこでひとり職場となることを自ら希望して選択したことは,まずはPTの存在価値,有効性を患者および他の職種に知らしめるためであることと,それを通じて1人ゆえに剥き出しになっているPTとしての自分を試したかったのである.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.