特集 理学療法における基礎研究
理学療法における基礎研究―私の体験と実際
地域リハビリテーションにおける基礎研究
香川 幸次郎
1
Kagawa Koujiro
1
1岡山県立大学保健福祉学部
pp.553-555
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104691
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1.はじめに
在宅医療や地域ケアの推進は,在宅患者や障害者に対するリハビリテーションサービスの必要性を増大させ,昨今地域リハビリテーション(以下,地域リハ)に関する報告書や書籍が多く出版されている.
地域リハへの取り組みとともに,理学療法士の関与も増加しており,理学療法士学会においても,地域リハの演題数は他のセクションと比肩するレベルに達している.しかしながら,地域における理学療法の対象や方法,効果判定等については議論の途上にあり,模索の段階にある.
これまでの理学療法は,主として医療機関を治療の場とし,機能障害や能力障害といった身体的機能や個人を中心としたアプローチが行われてきたが,地域リハ活動では,個人と環境との関わりが重要視されている.地域リハの対象は個人のみならず,家族や地域社会を含むといわれ,しかも,地域リハにおける実践的要請からは,個人,家族,地域社会は相互に関連し,重層的に入り組んだ対象としてとらえられ,これら三者の関連性を視野に入れたアプローチがなされている.しかも,地域リハを研究のレベルで把握する場合,実践的要請を踏まえつつも,個人,家族,地域社会それぞれを対象とした研究が必要であり,現状の分析がまずなされなければならない.
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