特集 理学療法における基礎研究
理学療法における基礎研究―私の体験と実際
他職種との共同研究を通じて理学療法学の体系化を
山田 道廣
1
Yamada Michihiro
1
1白石共立病院リハビリテーション部
pp.555-557
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104692
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1.基礎研究のとらえ方
筆者は以前東京都老人総合研究所に席を置き,老化に関する基礎研究に従事していたが,現在は臨床の現場にいる立場であり,厳密な意味では基礎研究を行える環境ではない.しかし,以前より基礎研究の重要性や困難さを経験していることから,ここで自分なりに基礎研究について述べてみたい.
理学療法学の確立の必要性については,これまで多くの先輩たちにより述べられている.丸山1)は理学療法が学問として認められるには,体系化されることが必要である.その体系化は臨床研究や基礎研究によりなされると述べている.さらに,基礎研究および抽象化される研究(モデルを形成するような研究)が必要となるであろうとも述べている.また上田2)は,医療では実践性(むしろ有効性)が価値の基準となり,学問では真理性(どれだけ深く真理を究明するか)が価値の基準であると述べている.リハ医学の対象は疾患ではなく障害であり,主に合併症の研究が対象となり,疾患との関係を追及する病態生理とは一線を画すとしている.
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