特集 高齢者と運動
加齢と体力
中田 昌敏
1
,
斉藤 徹
1
,
丹羽 滋郎
1
Nakata Masatoshi
1
1愛知医科大学運動療育センター
pp.374-382
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104554
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1.はじめに
中高年齢者の場合,体力・筋力などの身体機能低下が問題となるのは,それが日常生活を著しく阻害する原因となり,何らかの疾患・傷害を引き起こす原因となるからである.中高年齢者では,慢性的疾患,成人病などが発症したとき,運動・治療体操を含めた運動療法を積極的に受け入れようとするケースと,臨床症状より精神的なダメージを受け,運動不足をきたし,これが悪循環となって体力低下を引き起こすケースがある.体力の低下したケースに対応するとき,加齢に伴う身体機能の低下度は,生理学的要因に加え,中高年齢者の心理的あるいは社会的な環境要因により個人差が大きく,体格・体力の個人差は遺伝的要因よりは,長い間の生活習慣(食習慣,運動,嗜好品,精神的ストレスなど)つまり後天的要因によるところが大きいことを知っておかなくてはならない.
本稿では,中高年齢者の平均的体力をもとに,加齢による体力低下の特徴,習慣的な運動の効果や,運動強度と身体機能変化の関連について述べる.
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