入門講座 苦労する科目の教育実践・3
臨床運動学 臨床運動学をどのように教えたらよいか?/運動・動作分析を中心に
高木 昭輝
1
,
河村 光敏
1
,
吉村 理
1
,
奈良 勲
1
,
梶原 博毅
1
,
吉元 洋一
2
Takagi Akiteru
1
,
Yoshimoto Yoichi
2
1広島大学医学部保健学科理学療法学専攻
2鹿児島大学医療技術短期大学部理学療法学科
pp.187-195
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104500
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Ⅰ.臨床運動学を教えることの難しさ―その背景
本入門講座の主眼は,養成校が多くなり,したがって教官の数も多く必要となっているが,日本理学療法士協会において経験5年以上の構成員が過半数を占める現状で,養成校のカリキュラムでは,理学療法学教育法というものは,臨床実習指導法あるいは臨床実習教育法などが存在していないと同様に,存在していないという現状が大本になっていると思われる.現在のカリキュラムで臨床運動学となっている教科目については,それが決定される当時,日本理学療法士協会では病態運動学といった名称となることを願っていたが,そのようには進まないで,結局は基礎運動学と対になるようなことからなのか,臨床運動学に落ちついた経緯がある.臨床運動学は,教科目として,その誕生の時からこのような複雑な背景をもっていたことを知っておくことは重要と思われる.
米国などでも1984年頃から,「われわれ理学療法士は,今日の到達点に立って,さらにpathokinesiology(病態運動学)について,現在はその内容は規定されていないが,これを理学療法(学)にとって重要な概念として位置づける必要がある」としてきている.実に,現カリキュラム改正の折りには,この米国理学療法士協会の問題提起の影響も受けていたのである.
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