看護のための集団力学入門・8
相互作用の動機づけ
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.1510-1517
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916499
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
社会的動機の方向性と持続性
人間は社会的,政治的な動物であると言われる(アリストテレス).なぜ人は友だちを求め,あるいは集団に参加するのであろうか.人間が社会的な生き方をするのはなぜかという問に対して,社会的本能とか群居本能があるゆえに社会的行動をするのだと説明した時代もあった,しかし今では,人間の社会性が生得的装備としての本能に由来するという見方よりも,むしろ誕生後の人間関係的な学習によって社会的存在になっていくのだと考えられている.
人間の社会的行動の動機を説明するのは,実際容易ではない.‘ある人はなぜ看護婦になり,その他の職業を選ばなかったのか’‘彼女はなぜ特定の宗教を信じ,特定の教会に通うのか’‘彼女の弟はなぜ宗教を拒絶して共産主義者になったのか’などの疑問は日常的ではあるが,その解明はそれほど簡単なことがらではない.このような人間の社会的生き方の選択と方向性についての研究は,モチベーション力学の第1の課題である.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.