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講座
運動学習・6 動機づけと運動学習
Motor Learning 6: Motivation in Motor Learning
松田 岩男
1
,
落合 優
2
Iwao MATSUDA
1
,
Masaru OCHIAI
2
1中京大学
2横浜国立大学
1Chukyo University.
2Yokohama National University.
pp.379-384
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104043
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Ⅰ.はじめに
運動技能の獲得が主たる目的である運動学習の場面においても,他のさまざまな領域の学習と同様に,学習者が積極的な意欲・やる気をもって学習に取り組むかどうかが学習の成否や,能率に大きな影響を及ぼしている.学習意欲が充分でないときには,人は学習活動に取り組もうとしないことが多いし,また,たとえ学習を始めたとしてもいやいやながら,受動的に他からひきずられるようにして行われた活動からは,満足のいく上達を期待することはできない.
運動学習におけるこうした側面,すなわち動機づけの側面は,運動学習を促進する条件の問題,学習効果を高めるためのフィードバックの与えかたの問題などとともに,非常に重要で中心的な課題として取り上げられ,研究されてきている.
動機づけは,一般的には「活動を喚起し,その活動を持続させ,さらにその活動のパターンを決定する過程」(Young PT 1961)1)のように定義され,①行動を起こさせる始動機能,②行動を一定の目標に向けていく方向づけ機能,③生起した行動をもともとの動機に照らして評価する強化機能,の三つの機能をもっていると言われている.動機づけの原動力となるものは何か,あるいは,動機づけのメカニズムはどうかなどの点については,いろいろな観点からの説明がなされてきているので,ここでは,それらのうち主なものについて概観し,運動学習における望ましい動機づけの在りかたについて考えてみることとする.
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