とびら
姿勢保持
大津 慶子
1
1東京都立医療技術短期大学
pp.293
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103993
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「最近は,左の股関節がカクッカクッと音がするんですよね.背骨も曲がってきて,くねくねっとしてきてるんです.」筋萎縮性側索硬化症と10か月ほど前に診断されたSさんの奥さんは,手すりとダイニングテーブルを伝いながら,いちばん奥のいつもの定席に腰を下ろした.
脳卒中の後遺症の右片麻痺と着衣失行など高次脳機能障害をもつSさんの自宅を訪問したときのことである.Sさんの半年間のグループ指導を終えて今後のことを相談するための訪問だが,進行性の疾患の奥さんの話が中心になりがちとなった.TH大学病院に週1回通院しながら,先のことは考えずに,今を精一杯生きるように言われていると話す奥さんは,夫の代わりに自営業のやりくりを続けているが,それもいつまで続けられるかわからない.高校を卒業した息子さんも,両親の介護などで,仕事ももてない状態である.深刻な状況になるのは必至である.
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