Japanese
English
特集 姿勢保持のアプローチ
姿勢保持のメカニズム
Postural Control Mechanism.
齋藤 宏
1
Hiroshi Saito
1
1東京都立医療技術短期大学
1Tokyo Metropolitan College of Allied Medical Sciences
キーワード:
姿勢制御機構
,
姿勢反射
,
抗重力機構
Keyword:
姿勢制御機構
,
姿勢反射
,
抗重力機構
pp.699-703
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108164
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はじめに
姿勢とは,①からだのかまえ,からだつき,②事にあたる態度(広辞苑3版)とある.姿勢を静的姿勢(static posture)と動的姿勢(dynamic posture)とに区分することもあるが,一般には一定の体肢の位置を示すものとして静的姿勢を指す.運動学的には,頭部,体幹,四肢の各身体部位の相対的位置関係を,構え(attitude),重力方向に対して身体がどのような位置関係にあるかを体位(position)という1).
ある姿勢をとり,それを維持する機能を姿勢制御(postural control)という.姿勢制御系は,支持(support),安定(stabilize),平衡(balance)の3つの機能を果たす2).支持は重力に抗して身体を維持するための適切な筋収縮により,安定は平衡状態からの変位に対する物体の低抗を意味し,身体のある部分が運動を行う時に他の部位を的確な運動遂行のために保持する筋活動により,またその結果として身体の重心線を支持基底内に投射して平衡を確実なものとする.
この3つの機能を実行するために,姿勢制御系は身体各部位の相対的位置関係に関する情報や,重力など身体に運動を起こさせようとする外力と身体との関係に関する情報が必要である.これらの情報の入力として,体性感覚系,視覚系および前庭系の3系の受容器が利用される.
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