とびら
再会
北目 茂
1
1東京女子医科大学中央リハビリテーション部
pp.431
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103541
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「先生,お久し振り.元気?」と,後ろから声を掛けられた私は,覚えのある顔ではあるがとっさにその女性の名前を思い出せなかった.笑顔で対応しようと,頭の中で過去を呼び戻していた私に,相手のほうから「Kちゃんのお母さんよ.」と私の頭の回路を繋(つな)いでくれた.
17年前に現在の病院に勤務し始め,2年目に故江原先生から「明日から小児を担当しなさい.」と言われ,暗黒の世界に落とされたような思いになった記憶が,私には有る.当時,養成校での授業は外国人講師による横文字で行なわれ,愚鈍の私にとって内容の把握は困難を極め,実習先の養護学校においても何をしていいのか,わからずに過ごしてしまっていた.小児訓練は経験も知識も少ない私にとって恐怖そのものであった.そのころ担当したのがK君であった.
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