特集 理学療法処方をめぐって
理学療法処方を考える
循環器疾患患者を担当する理学療法士の立場から
奈須田 鎮雄
1
1福井心臓血圧センター福井循環器病院理学診療科
pp.686-687
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103362
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1.初めに
理学療法の処方について思うところを述べてほしいということで,編集室から依頼をいただいた.そこで,筆者は「まず隗より始めよ」ということで,広辞苑から「処方」の意味を探ってみることにした.広辞苑には「処方」は「①処置する方法.てだて.しかた.②医師が病気に応じて指示する薬の配合法.」とあった.
ここにもあるように,処方とはそもそも薬の処方に由来するようで,薬の処方ではいわゆる「さじ加減」というのがあって,薬を任意に調合して各個人の病態に合った調剤を行なうことの意味で使われていたようである.
また,循環器疾患の理学療法(運動療法)やスポーツ医学などの分野では,「運動処方」という用語がしばしば登場する.運動処方では,どのような運動(量と質)をどのくらい(強度と時間)を決めることである.この運動処方という語を,1960年,我が国で初めて用いたのは猪飼で当時,外国ではこれに相当するような用語は無く,1969年WHOで「prescribed exercise」という語を用いており,以来この運動処方(prescribed exercise)が国際的に通用する用語となっていったようである.
医師の「処方」はこの「運動処方」という語とは似て非なるものであって,医師が理学療法士に理学療法を処方するといった使いかたとは異なる運動処方という用法で普及している.
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