特集 昭和40年度看護教育研究会夏期講習会集録
シンポジウム
総合看護について
病院管理者の立場から
工藤 正直
1
1国立療養所刀根山病院
pp.27-30
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905942
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いまの病院運営の癌は,木崎先生も云われる通りたしかにお医者さんにあると思うのである。病院の事務部長というのは,病院全体がいかにすればいちばん仕事がやりやすくなるかという判断によって,仕事をしなければならない立場にあり,ときにはやはり事務を押えることもしなければいけないが,お医者さんだけは押えるのがむずかしい場合が多いわけであります。というのは,現在の医師の人事は,院長でなく,大学教授に握られている状況であります。従ってお医者さんの人事に欠員ができると,私どもは早速大学の教授のところにとんでいって,三拝九拝してお医者さんをもらってくる。というような現況であります。看護婦の人事についてはもちろんそれとはちがうがやはり依然として古い医師に隷属した看護婦というような考え方が全国的に共通な形として残っているのではないかというような気がするわけであります。
私ども常に看護婦さんが足らんといいながら看護婦さんがやめるとなると,こんどはあちらこちらの知り合いの所に,なんとか看護婦さんの免状だけもっている人でもいいから,年令も44〜45才ぐらいまでであれば採用するからといって探すのでありますが,それでなかなかみあたらない。しかもやめたあとが充足されないと夜勤回数がふえるとか,あるいはまた休暇の中止が続けられる,おのずから看護婦さんの保健衛生上に悪い結果を及ぼすというのが,これがいまの本当の病院の状況なのであります。
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