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特集 診療報酬
在宅訪問活動の実態と採算
Payments for Medical Care by Social Insurance: Present State and Cost-Performance of Physical Therapy in Home-visit Setting
稲満 雅弘
1
Masahiro INAMITSU
1
1東神戸病院リハビリテーション科
1Division of Rehabilitation, Higashikobe Hospital.
pp.609-614
発行日 1990年9月15日
Published Date 1990/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103090
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Ⅰ.初めに
近年,高齢化社会の到来とともに,医療の流れは施設中心から在宅へと変わりつつある.リハビリテーションの分野においても地域リハビリテーションの重要性が叫ばれ,さまざまな取り組みがなされてきている1).
このような流れは,一つには厚生省が急増する老人医療費を抑制することを目的として,在宅医療を促進する政策を打ち出したことによるところが大きい.しかしながら,この在宅医療を保障する制度は整備されておらず,まだ在宅患者に対して十分なサービスが提供されているとは言い難い.
在宅リハビリテーションにおいても,病院に勤務するリハビリテーション関係者は以前よりその必要性を感じていたであろうが,法的な制約や診療報酬の問題などから訪問活動を実施できず,その結果,在宅リハビリテーションサービス全体の普及の遅れを招いているものと思われる.在宅リハビリテーションを行なうことによって一定の成果が期待できるにもかかわらず,制度上の問題のために活動が制約されるというのは,それを受ける側の患者や家族にとっても,また提供する医療者側にとっても納得のいかないところであろう.
当院では,地域に密着した医療を病院の活動方針の中心に据(す)え,その中で在宅医療にも積極的に取り組んできた.もちろん,一民間病院の取り組みとしては限界もあるし,また採算が合わないなど,さまざまな問題がある.この小論では,当院の在宅管理システムを紹介し,訪問理学療法の実態について述べ,さらに現状と法制とのギャップ,採算性などについて論じてみたい.
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