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私の推薦する書物
坂西 志保
pp.24-25
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201590
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人間の記憶はあわいもので,忘れてはならないものもみな忘れてしまう.感激もいつの間にか薄れて,何かの折に思い出すことがあつても,前のような心の躍るものではなくなつている.もちろん,新しい感激に出合つて心を豊かにすることが出来る.しかし,年をとるにつれて硬化するのは動脈だけでなく,心の琴線に触れることも少なくなるといわれている.世間の雑事は,私たちの情緒を枯死させてしまうのかも知れない.しかし,それは本人の心がけ次第ではないかと,私は考えていたが,昨年クリスマスの朝,私の考えを証拠だてる1つの話を読んだ.
毎日新聞の社会面に「雑記帳」という小さな囲みの欄がある.お読みになつた方もあると思うが,短い話であるから,くり返させて頂こう.
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