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編集後記
吉尾 雅春
pp.266
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102431
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春爛漫.芽から吹き出した草木の黄色やピンクの花が咲き乱れ,とても暖かそうな陽気を思い浮かべます.鹿児島の開聞岳では1月には既に菜の花が咲き,淡路島でも水仙が一面に香りを漂わせるそうです.3月でもまだ白銀の世界に住んでいますと,そのような春爛漫という文字はまだ見あたりません.それでも,庭の片隅に目をやると,雪の下で福寿草が黄色い花を一輪開こうとしています.それを見つけたとき,私自身の中に一気に春が押し寄せてくるのです.春は感動を呼ぶ季節でもあります.
昨年スタートした新しい診療報酬制度によって,新規に,しかも大幅に増員しなければならなくなった医療機関も多いと聞いています.相当の人員調整を検討しなければならないような抜本的改定がなされたにもかかわらず,厚生労働省の発表が年度末ギリギリで,多くの臨床現場から悲鳴が伝わってくるようでした.まさに悪戦苦闘の1年間でした.また,ADLへの視点を強く求められ,理学療法士としてのアイデンティティをどうするのか,自問自答してもまだ答えを見いだせない人たちも多いことでしょう.診療報酬制度は政策誘導ですから,その統制に従っていくことが王道かもしれませんが,価値観の転換はたやすいことではありません.また,理学療法が対象とする疾患や障害,あるいは生活スタイルには幅があり,改定の中身には矛盾も含んでいるように見えます.
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