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編集後記
吉尾 雅春
pp.972
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200365
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今年の夏の太平洋高気圧はお盆を過ぎると急速に弱まり,北から降りてきた冷気との間で大気は不安定になって各地で大雨や雷雨の被害が出ています.竜巻や突風のニュースもしばしば報じられています.秋雨前線が例年以上に活発なようで,日照不足による農作物への影響も深刻なようです.10月は食欲や行楽,スポーツの秋とも言われるように,人間がリフレッシュするのに最も適した季節です.雨空から解放され,高い青空のもと,爽やかな日々を過ごしたいものです.
今月号の特集は理学療法士が最も重きを置いている課題のひとつ,歩行に絡んだテーマです.特に近年注目されている歩行支援機器による歩行を取り上げてみました.歩行支援機器は歩行を補完あるいは改善するものですが,実際の歩行場面で用いられるものや歩行トレーニングで用いられるものなど,幅広く存在しています.具体的な歩行支援機器としては杖や歩行器に始まり,装具,functional electrical stimulation(FES),体重免荷式トレッドミル,そしてロボットなどがありますが,それらの選択や使用法について,理学療法士の能力が求められます.その使用によっては脳の可塑性や運動学習としての効果がみられるものもあると言われていますから,積極的に考えていかなければならない課題です.再生医療も本格的に行われるようになり,ロボットが積極的に活用される時代になれば,理学療法士の存在が危うくなるという話もありますが,むしろそういう時代だからこそ理学療法士の真価を発揮すべきであると私は思います.
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