書評
―森田秋子(編著),運動・認知・行動研究会(著)―「PT・OT・STのための脳損傷の回復期リハビリテーション―運動・認知・行動からのアプローチ」
半田 一登
1
1公益社団法人 日本理学療法士協会
pp.627
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102344
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2012年2月の中医協の会議で,「急性期医療」の“急性期”の意味が医療界で定義づけられていないことが判明し,私は大いに驚いた.ならば,回復期の定義は何なのかという疑問を抱きながら本書を読み始めた.
本書の中で強く感じられるコンセプトはチーム医療という視点である.3年前にチーム医療推進協議会という組織が誕生し,私は役職の一端を担っている.そこで感じられることは,われわれリハビリテーション(以下,リハビリ)関連職種はリハビリ医療という分野でチーム医療を看板にしているが,意外と閉鎖的な壁の中で終始しているように感じている.臨床現場にあって,理学療法士と言えども,作業療法や言語聴覚療法を十分に理解しているとは言い難いところがある.そのことがつまらぬ混乱を招き,チーム医療の阻害因子になっている.その視点から,理学療法士であっても本書の作業療法や言語聴覚療法の部分も熟読することによって,相互理解を高めるチャンスを本書は提供している.
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