プログレス
脳梗塞に対する自己培養骨髄幹細胞の静脈内投与
佐々木 雄一
1
,
本望 修
2
Yuichi Sasaki
1
1札幌医科大学附属病院リハビリテーション部
2札幌医科大学附属フロンティア医学研究所神経再生医療学部門 札幌医科大学附属病院神経再生医療科
pp.553-556
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102321
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脳梗塞をはじめとする中枢神経疾患に対する神経再生医療は,世界的にも注目されている.従来,「損傷を受けた中枢神経系の再生は困難である」という考えが,中枢神経疾患の治療において支配的であったが,近年の生命科学の進歩によって,自己複製能と多分化能を有する“幹細胞”が神経系にも発見されたことにより,中枢神経疾患に対しても新しいアプローチによる治療が期待されるようになった.
われわれは,1990年代初期から神経系細胞をはじめとする種々のドナー細胞の研究を開始し,特に神経幹細胞やES細胞などの幹細胞を用いた基礎研究を展開してきた.近年では,実用化を念頭に臨床応用に最も近いと予想される骨髄細胞をドナー細胞とした神経再生研究に注目し,基礎的研究成果を数多く報告してきた1~14).その中でも特に神経再生作用の強い骨髄間葉系幹細胞の治療効果が,経静脈内投与でも実験的脳梗塞に対して著明に認められることを報告してきた.これらの基礎研究結果に基づき,2007年1月より脳梗塞亜急性期の患者を対象とした自己骨髄間葉系幹細胞の静脈内投与について,その安全性と治療効果について検討している15).
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