整形トピックス
脊髄損傷患者に対する自己骨髄間葉系幹細胞による治療
廣田 亮介
1,2
,
本望 修
2
,
山下 敏彦
1
1札幌医科大学整形外科
2札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所神経再生医療学部門
pp.1268-1268
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1268
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1.はじめに
脊髄損傷は四肢麻痺,膀胱直腸障害,呼吸障害,自律神経障害など多彩な症状が出現する重篤で永続的な外傷疾患であり,多くの患者が後遺症に苦しんでいる.われわれは1990年代よりさまざまな中枢神経疾患に対してさまざまな細胞を用いた再生医療の基礎研究を行ってきた.その中で,骨髄中に含まれる間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)の経静脈的投与による良好な治療効果を多数報告している.これらの研究結果に基づき,2014~2017年に,亜急性期脊髄損傷患者に対する自家MSCの静脈内投与の医師主導治験を行い,2018年12月に厚生労働省から「条件及び期限付承認」を取得した(製品名:ステミラック注).現在,製造販売後承認条件評価として,本製品投与群と対照群の成績比較調査が進行中である.本稿ではわれわれの基礎および臨床研究を紹介し,さらにステミラック注がもつ再生医療等製品としての特徴について解説する.
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