特集 慢性疼痛への包括的アプローチ
慢性疼痛への理学療法―筋機能
櫻井 博紀
1,2
,
牛田 享宏
2
Hiroki Sakurai
1,2
1浜松大学保健医療学部
2愛知医科大学学際的痛みセンター
pp.117-122
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102190
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はじめに
慢性疼痛患者の多くは筋機能障害を伴い,それによる活動やquality of life(QOL)の低下を来している.近年,社会的経済損失として世界的に問題となっていることから,世界保健機関(WHO)は2000~2010年を「運動器の10年(Bone and Joint Decade:BJD)」と定めて疫学・予防・治療研究推進と啓発に取り組んでおり,今後も継続の必要があることからBJD活動が続けられている.
慢性疼痛の大部分を占める運動器慢性疼痛を訴える患者は,様々な症状・複雑な病態を呈しており,身体的な側面だけでなく,精神医学的,心理社会的側面での問題を持ち合わせている1).そのため,このような運動器慢性疼痛患者に対峙していく際に,様々な診療科が協力する集学的アプローチの必要性が指摘されてきている.
このような背景から,集学的アプローチにおいて主に身体的側面からのアプローチを担う理学療法は非常に重要な役割となる.本稿では,慢性疼痛への理学療法において,特に筋機能障害に注目して概説する.
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