入門講座 理学療法と吸引―実施にあたり確認しよう・1【新連載】
基礎編①:吸引手順と理学療法士が注意すべき事項―口腔・鼻腔内吸引
高橋 仁美
1
Hitomi Takahashi
1
1市立秋田総合病院リハビリテーション科
pp.61-67
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102172
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はじめに
喀痰などの吸引は,口腔,鼻腔,挿管チューブ,または気管カニューレ口から,吸引カテーテルを用い機械的な陰圧によって行われる.吸引の目的は,「口腔内吸引・鼻腔内吸引」では口咽頭・鼻咽頭の分泌物や貯留物を機械的に除去し,誤嚥や気道閉塞を防ぐことで,「気管吸引」では気管内に貯留した分泌物などを取り除くことによって気道を開存させることにある.
喀痰などの吸引は侵襲的医療行為であり,不必要な吸引は患者に多大な苦痛を与える.よって,咳嗽や体位ドレナージなどの呼吸理学療法によって排痰が十分にできるならば,吸引は第一選択にならない.また日常においても,口腔内の清潔保持,適度な湿度・温度設定,水分補給,吸入薬の処方,疼痛管理など,できるかぎり自力喀出できるように配慮することが重要である.吸引は,このような呼吸理学療法や日常の管理を適切に行っても,喀痰などの自力喀出が困難なケースに,その必要性が判断された上で実施される.本稿では,吸引を行うにあたっての基本的事項を含め,口腔内・鼻腔内吸引の実際について解説する.
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