1ページ講座 義肢装具
Lenox Hill Derotation膝装具
三浦 雅史
1
1青森県立保健大学健康科学部理学療法学科
pp.1040
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102140
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●特徴と適応
Lenox Hill Derotation膝装具は1980年代にLenox Hill Brace社が開発した膝装具である.この装具は,元来,スポーツ選手に見られた膝前十字靱帯損傷後に認められる不安定膝に対する装具療法の一環として開発された.膝前十字靱帯損傷後は「膝くずれ(giving way)」に代表される膝の不安定性が出現し,さらに詳しくは下腿の前方引出し・回旋不安定性,膝外反(knee-in)不安定性といった機能的不全が認められる.このような機能的不全を解決するための装具を総称して「機能的膝装具(functional knee brace)」と呼び,本装具が出現して以来,他社(DONJOY等)も同様の装具を開発してきたという経緯がある1).現在,Lenox Hill Brace社はないが,機能的膝装具の創始的存在として本装具にその名称を残している.よって,膝靱帯損傷後の機能不全に用いられる装具の総称としては「機能的膝装具」が適当と考える.
基本的な構造は硬性フレーム,シェル,継手,軟性ストラップで構成されている.図に示したように内・外側に対する動揺は3点支持で対処している.また,下腿の前方引出しに対しては,下腿近位部前方から後方へ押し込むような力を加え,カウンターとして下腿遠位後方,大腿遠位後方,近位前方に支持部を配置する4点支持が一般的である2).また,下腿前面から膝窩を通り,大腿部へらせん状に軟性ストラップを通すことで回旋制動も期待されている.
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