特集 高齢者骨折の外科的治療と理学療法
大腿骨頸部内側骨折
林 典雄
1
,
南場 宏通
2
Hayashi Norio
1
1吉田整形外科病院リハビリテーション科
2吉田整形外科病院整形外科
pp.13-20
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100003
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骨粗鬆症を基盤に発症する大腿骨頸部骨折は,人口構成の加速度的な高齢化により増加の一途をたどっている.日本整形外科学会骨粗鬆委員会で実施された全国調査では,1998~1999年の2年間に76,295例の大腿骨頸部骨折症例が登録され,80~84歳の年齢層を筆頭に,70歳以上の症例がその大部分を占めている1,2).大腿骨頸部骨折は通常内側骨折と外側骨折に分類され,それぞれ骨粗鬆症を基盤に発症するものの,海綿骨量の減少との関連が深い外側骨折に比べ,内側骨折では頸部の長さが長いなどの形態的特徴も関与していると言われている3).
現在,大腿骨頸部内側骨折に対する治療として,保存的治療が選択されることはほとんどなく,ピンニングを中心とした骨接合術4~6)と人工骨頭置換術7,8)のどちらかが実施される.どちらの治療を選択するかは,患者の年齢,社会的背景などによって異なるものの,骨接合術の目的は「骨癒合を得た上で歩行を獲得する」ことであり,人工骨頭置換術の目的は「早期に歩行を獲得する」ことである.したがって,どちらの治療が選択されたかにより,術後理学療法はタイムスケジュールを含め変化するのは当然である.本稿では,大腿骨頸部内側骨折の術後理学療法を円滑に展開する上で,知っておくべき留意点と共に,自験例を紹介しながら本骨折に対するわれわれの考え方について述べる.
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