書評
―森 惟明・鶴見隆正―「PT・OT・STのための脳画像のみかたと神経所見[CD-ROM付] 第2版」
石川 誠
1,2
1医療法人社団輝生会
2全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会
pp.574
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102004
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かつてリハビリテーション医療の対象疾患は骨関節系が主流であったが,いつしか脊髄損傷,頭部外傷,脳卒中等の中枢神経系の疾患へと移行していった.ところが,脳という「神経の中枢」はブラックボックスと言われたように,解明された部分は極めてわずかで,大部分は未知の臓器であったことから,中枢神経系のリハビリテーションは科学として成立しにくい時代が続いていた.脳神経外科医,神経内科医,精神科医,リハビリテーション科医などの臨床家,さらに神経科学にかかわる多くの学者達の長年の努力により,ひところに比べれば脳の解明は格段に進んできた.とはいえ,いまだにブラックボックスであることに変わりはない.
かつて,多くの臨床家による詳細な神経所見や行動観察,剖検所見等のすり合わせにより,大脳の機能局在論が一世を風靡した時代があった.19世紀の後半のことである.その後100年が経過した20世紀後半にはX線CTが登場し,新たな局面を迎えることになった.さらにMRIやPETなどの新鋭機器が開発され,未知の分野が徐々に解明されつつある.画像診断の進歩により新たな事実が続々と確認されているのである.
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