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はじめに
近年,医療技術の進歩に伴い,肢体不自由児を取り巻く環境も重度重複化傾向や発達障害児の増加など大きく変化してきている.また少子化にもかかわらず,どこの特別支援学校も子どもの人数は増加傾向にあり1),高等学校に分教室を開設するなど,過大規模化が進んでいる現状である.
福祉分野においては,2004年支援費制度,2005年発達支援法,2006年自立支援法施行,2010年障害者総合福祉法(仮)に向けて,制度改革推進会議の開催1),世界的には1994年のサラマンカ宣言(特別なニーズ教育に関する世界会議)や2006年障害者権利条約の採択2),2001年世界保健機関(WHO)で国際生活機能分類(ICF)3)が採択され,国際障害分類(ICIDH)から障害の概念も大きく変化した.特別支援学校における養護・訓練の障害観は,ICIDHを参考にディスアビリティとして理解され,説明されてきた.その後,国際的な障害者施策の動向により,障害者の「自立」の概念が広く捉えられるようになり,2000年「養護・訓練」から「自立活動」へと名称変更した4).さらに2007年特別支援教育のための教育法の改正施行,2009年特別支援学校の学習指導要領が改訂され,障害の重度・重複化,多様化に対応するとともに,1人ひとりに応じた指導を充実するため「自立活動」の指導内容に新たな項目の追加,重複障害者の指導にあたっては,専門的な知識や技能を有する教師間で協力した指導や外部の専門家を活用するなどして,学習効果を高めることも示された5~7).
こうした様々な変遷の中で教育も大きく変化し,学校内に外部専門家を導入する試みが各地で取り入れられている8,9).神奈川県でも2008年6月より,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士(以下,4職種)を自立活動教諭(正規)として採用し,2011年4月現在,県内15校に27名が配置された.県の取り組みと合わせて,特別支援学校における理学療法士の関わりを中心に紹介し,今後の課題・展望についても若干考察を加えたい.
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