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はじめに
「特別支援教育」とは,「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行う」ことである1).2007年に学校教育法等の一部改正がなされ,従来の「特殊教育」に代わって「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ,すべての学校において,障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくことになった2).
2017年の特別支援教育の実態調査3,4)は図1,2に示すように,近年では出生率の低下とは逆に,軽度発達障害の増加5),人工呼吸器をはじめとする濃厚な医療を必要とする幼児児童生徒が増加している.2009年,これら障害の重度化・多様化への対応として,学習指導要領にも医療機関との連携や外部専門家などの活用が明記されたことで,各都道府県においても理学療法士,作業療法士,言語聴覚士などの内部,外部専門家の活用が開始された.神奈川県では2003年に看護師が職員として配置されるようになり,今まで在宅で教育を受けていた幼児児童生徒が学校で安心して教育を受けることができるようになった.その後,外部専門家の活用の成果もあり6),2008年より理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,心理職が自立活動教諭として正規職員に採用され,2018年4月現在,理学療法士10名,作業療法士12名,言語聴覚士10名,心理職13名が神奈川県立特別支援学校に配属されている7).幼児児童生徒を学校に安心して預けられるように,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士などの医療職を配置してほしいという長年にわたる保護者の願いは,特別支援学校において内部,外部専門家の導入というかたちで実現しつつある.今日ではインクルーシブ教育の推進8)に伴い,その動きは徐々に地域の小・中学校にも広がりつつある.
本稿では,障害のある幼児児童生徒が安心して学校生活を送るためには何が必要か,特別支援学校における取り組みを紹介し,自立活動教諭(理学療法士)として筆者が考える教育における安心・安全への課題や今後の方向性について述べたい.
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