講座 福祉ロボット工学・2
装着型歩行アシストロボットによる歩行トレーニング
仲 貴子
1
,
及川 清志
2
,
平田 崇
2
,
荒木 友希
3
,
鈴木 隆雄
4
Takako Naka
1
1千葉県立保健医療大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
2(株)本田技術研究所基礎技術研究センター第2研究室
3霞ヶ関南病院リハビリテーション部
4国立長寿医療研究センター研究所
pp.163-170
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101879
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はじめに
先進国中で最も早く高齢化が進むわが国では,少子化の進展とも相俟って高齢化率はさらに伸び続け,2055年には40%に達すると推計される1).高度医療の進歩と安全な生活環境を背景に実現した超高齢社会は,他方で社会保障費の増大や要介護高齢者の増加,超高齢者の所在不明などの社会問題を派生し,否定的な立場で語られることも少なくない.しかし,わが国の高齢者の生活機能が10年前に比べて格段に向上していることを示す研究2)もある.この変化の先にある「高齢者自身が活動的で自立した生活を営み,積極的に社会参加するような活力ある超高齢社会」の実現こそ,わが国の目指すべき道筋なのかもしれない.
Hondaは,この活力ある超高齢社会の実現にロボット技術が寄与することを目指し,1999年から装着型歩行補助装置「リズム歩行アシスト」3)(以下,歩行アシスト)の研究を開始した.本稿ではこの歩行アシストについて概説したうえで,地域在住高齢者や回復期脳卒中後患者を対象とした介入研究の成果をレビューし,リハビリテーション領域における装着型歩行補助装置の応用とその課題について述べたい.
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