特集 在宅理学療法の実践
高齢者に対する効果的な介護予防について―地域生活のひろがりに着目した介護予防評価
二瓶 健司
1
Kenji Nihei
1
1三春町立三春病院
pp.579-587
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101704
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はじめに
わが国の介護保険法では,高齢者の「自立支援」が基本理念となっており,予防重視型のシステムで要介護状態への悪化を予防するためのサービス提供に重点が置かれている1).なかでも,一般高齢者や特定高齢者,要支援高齢者を対象とした介護予防事業では,全国各地の自治体や事業所などにおいて地域性を活かした様々な事業が展開されている.高齢者に対する在宅理学療法は,その事業の効果を立証するうえで,自立支援や健康寿命の延伸に帰結することが望まれているものの,高齢者の多様な地域での暮らしをどのように把握し,どのような指標で評価をすべきかが課題となっていた.
社団法人日本理学療法士協会国庫補助事業特別委員会では,高齢者の地域生活における自立支援のあり方を検討する手段のひとつとして,高齢者の機能的状態の特徴と変化を総合的に捉える評価指標の開発に2005年から取り組んできた2~6).理学療法の専門性を活かした視点であらゆる検討を重ね,辿りついた指標は“地域生活のひろがりに着目した介護予防評価(elderly status assessment set:E-SAS)”である6).本稿では,このE-SASを使用した介護予防の実践例について述べていく.
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