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はじめに
今回の介護保険制度改正の主要テーマの一つは「介護予防」であるが,その目的は,「どのような状態にある者であっても,生活機能の維持・向上を積極的に図り,要支援・要介護状態の予防及びその重症化の予防,軽減により,高齢者本人の自己実現の達成を支援すること」1,2)にある.
今回の改正は,上記実現に向け,従来の三次予防(予防給付+介護給付)の一部見直しを行うとともに,これに一次・二次予防(地域支援事業)をも加えた形での,総合的な予防重視型システムへの転換を図ったものである.
また,その実効性を高めるため,これまで三次予防で培ってきたマネジメントの仕組みが,一次・二次予防に対しても適用拡大された.そのため,現在,介護予防関係者(保険者,マネジメント担当者,サービス提供者など)には,各々の置かれた立場に応じ,自らの関与が介護予防の推進に寄与したか否かの検証と,より実効性の高い方法論の追求が強く求められている.
ところで,介護予防の効果評価の手法としては,①プロセス評価(実施プロセスの評価)②アウトプット評価(実施量の評価)③アウトカム評価(実施効果に関する評価)が挙げられる3).
このうち,事業(サービス)の効果を評価するうえでとくに重要となるのがアウトカム評価であるが,このための具体的指標は介護予防関係者の立場によって異なる.例えば,保険者であれば新規認定者数の抑制などとなるが,これは,個々の利用者の生活機能向上が積み上げられた結果であり,究極的には,個々の利用者の生活機能の維持・向上がいかに図れたかが重要な指標となる.
筆者は,「介護予防を手段とした地域の再構築」を目指し,これまで島根県松江市をフィールドとしたさまざまな調査研究を実施してきた4-8).さらに,これら調査結果をベースに,現在,介護予防効果評価システムの開発を行っている.
本稿では,高齢者の生活機能面を中心としたこれまでの調査結果,ならびに現在開発中の介護予防効果評価システムの開発過程とその概要について紹介する.
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