特別寄稿
今なお生きる彼の想い―『生きたい!! 僕の履歴書』とは
池田 由佳
pp.316
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101644
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私の主人,池田真一は理学療法士でした.彼が帰らぬ人となり,もうすぐ2年.信じられない速さで月日は流れていきます.しかし,今なお,忘れられない想いがあります.
彼は,もともとは理学療法士を目指していたわけではありませんでした.高校生の頃,身体に異変を感じ,受診した病院で告げられた病名は「急性骨髄不全症」.医師の言葉を信じて,青春時代を治療に捧げました.そして,元気を取り戻して念願の大学に進学した矢先,再び不調を来し,その時に初めて自分が「急性白血病」という重い病を患っていることを聞かされました.助かる道は骨髄移植しかありませんでした.移植を何度も断られ,死にたくなるほど苦しい治療に臨むなかで,彼は奇跡的に骨髄バンクの善意のドナーさんに命を助けられました.そして「自分なら患者さんの気持ちをより深く理解できるはずだ,これからは医療を提供する側の人間になる」という強い信念を抱くようになり,理学療法士を志すことを決意したのでした.
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