講座 アンチエイジング・3
アンチエイジングと運動
米井 嘉一
1
Yonei Yoshikazu
1
1同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
pp.1091-1097
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101549
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はじめに
抗加齢(アンチエイジング)医学の目標は,日々の健康増進を図り,生活の質(quality of life:以下,QOL)を向上させ,最終的に健康長寿を達成することである1~3).そのために老化のメカニズムに関する研究成果を踏まえ,病的老化を診断し,どうすれば健康長寿を達成できるかを考え,アンチエイジング医療を実践する.具体的目標は,介護のいらない高齢者を創る(介護予防),寝たきりの予防,認知障害の予防,がんの予防である.さしずめエンドポイントは,平均寿命と健康寿命のギャップを埋めることになろうか.アンチエイジング医学の概念は心療内科医にとっても重要である.
アンチエイジング療法に入る前に,老化の程度やQOLの低下具合を判定する必要がある.アンチエイジング医療においては,老化度を筋年齢,血管年齢,神経年齢,ホルモン年齢,骨年齢として,老化危険因子を免疫機能,酸化ストレス,心身ストレス,生活習慣,代謝機能として評価している(図1).最も衰えた部位を最重点治療対象とし,老化危険因子のうち最も大きな要因を是正して,全体のバランスを図るべく,指導あるいは治療を行う.これまでの百寿者についての研究の成果から,全身が均一にバランスよく老化することが健康長寿への王道であることがわかる.生活習慣の改善は基本であり,運動療法,食事療法,精神療法が中心となる.本稿では,アンチエイジング療法における運動療法について述べる.
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