特集 地域の高齢者に対する理学療法士の視点
訪問による要介護高齢者との長期的関わりと理学療法士の視点
赤羽根 誠
1
Akabane Makoto
1
1医療法人秀友会在宅リハビリテーション
pp.975-982
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101524
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はじめに
現在,日本は世界でも有数の長寿国であり,寿命中位数(出生者のうちちょうど半数が生存すると期待される年数)は,2008年時点において男性82.21年,女性88.83年と報告されている.さらに,100歳以上の人口も4万人を超えている(2009年9月時点).このように寿命が延びている一方で,加齢に伴い徐々に介護を必要とする高齢者の割合も増加している.在宅生活を送る要介護高齢者は,様々な問題や課題を抱えており,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の必要性が増している.しかし,全国的にみると,訪問リハの需要に対して供給が追いついていない現状がある.
訪問リハでは,病院・施設からの退院・退所直後の要介護高齢者に対して,生活機能の適切な評価と予後予測を行うとともに,生活機能と居宅環境との関係性もチェックする.または,要介護高齢者が在宅生活を継続する中で,何らかの原因により生活機能の低下が起こり,その継続が困難となりつつある時に訪問リハが導入される.訪問リハに関わる専門職には,要介護高齢者が80歳,90歳,100歳になり,亡くなるまで住み慣れた地域で暮らし,本人の望みにより近い状態で在宅生活を継続できるように自立(自律・自己決定)支援を行うことが求められている.
本稿では,理学療法士が訪問リハにより要介護高齢者との長期的関わりを行う中で必要な視点について,国際生活機能分類(ICF)に基づいて整理してみたい.
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