特集 地域の高齢者に対する理学療法士の視点
通所による要介護高齢者との長期的関わりと理学療法士の視点
野尻 晋一
1
,
山永 裕明
1
,
今田 吉彦
1
Nojiri Shinichi
1
1医療法人社団寿量会熊本機能病院併設 介護老人保健施設清雅苑
pp.967-973
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101523
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通所リハビリテーションの現状と理学療法士の課題
老人保健法の下で,病院・診療所,老人保健施設において「デイケア」として実施されていたサービスは,2000年の介護保険制度施行に伴って「通所リハビリテーション(以下,通所リハ)」に変わり,老人福祉法で実施されていた「デイサービス」は「通所介護」へと移行した.今日までの10年近い経過のなかで,「通所リハと通所介護の違い」は常に議論され,通所リハには,より個別的で専門的なリハが求められるようになった.2006年度にはリハマネジメント加算が導入され,いわゆるPDCA(plan・do・check・action)サイクルによるリハサービスの品質管理システムが取り入れられた.また退院・退所後のシームレスなリハの実施を目的に,短期集中リハの仕組みも導入された.さらに,予防給付と介護給付が明確に区分されたほか,要介護認定されなかった対象者にも介護予防の観点から様々な事業が実施されるようになった.そして,今回の2009年度の改定では,個別リハに特化した短時間通所リハや認知症短期集中リハの仕組みが導入された.さらに,一時的な状態悪化で通所リハの利用が困難となった対象者には,通所リハの医師の指示で1か月間は訪問リハの実施も可能となった.
制度に振り回され続けた10年であったが,地域に関わる理学療法士の数は増加し,特に特定高齢者や要支援者に対する運動機能の向上を中心とした介護予防に関しては大きく貢献してきた.一方で,一時的に運動機能の向上がみられても,予防プログラム終了後には効果が継続しない,行動変容まで至らない,改善した対象者の受け皿がないなど様々な問題が指摘されている.
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