書評
―栗山節郎(監訳)・川島敏生(訳)―「ブラッド・ウォーカー ストレッチングと筋の解剖」
野村 嶬
1
1佛教大学保健医療技術学部理学療法学科
pp.834
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101493
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本書は,4つの特筆すべき優れた特徴を持っている.まずその第1はストレッチングと柔軟性を,骨格筋の基本単位である筋節まで遡って解剖学的,生理学的に解説している点である.長期の定期的なストレッチングによる関節可動域の拡大は,筋節の新たな増加によって筋全体が長くなるためであるとの説明は説得力がある.
第2は,ストレッチングの主なメリットとして関節可動域の改善のほかに,スポーツ傷害の予防,パワーの向上,運動後の筋肉痛の軽減,および疲労の軽減を挙げている.その中で運動後の筋肉痛(遅発性筋肉痛)は筋線維内の微細損傷,筋内の血液停滞および乳酸などの老廃物の蓄積によるものであることを指摘し,クールダウンの一環として効果的なストレッチングを行うことにより筋肉痛を軽減できることを科学的に解説している.運動前にストレッチングを行う人はかなり多いが,自分も含め運動後のストレッチングを行っている人はどれほどいるであろうか.本書は運動後のストレッチングの重要性にも目を向けさせてくれる.
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