書評
―栗山節郎・川島敏生(著)―「DVDでみるテーピングの実際」
伊藤 俊一
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科
pp.156
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101117
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近年,映像技術の進歩と価格の低下によって,多くの医療関連書籍にDVDが添付されるようになった.本書も,1984年に発行されてテーピングの基礎的教科書となった「テーピングの実際」に,1996年に伸縮性テープの手技をふんだんに掲載してより臨床およびスポーツ場面での実践に配慮した「新・テーピングの実際」の内容をさらに発展させ,基本技術を映像として収録し,すぐにテーピングが実践できるようにDVDを活用して新たに発刊された.
本書は,一般的な教科書と同様にテーピングの原理や基本,部位別手技の実際を概説するのみならず,当初からの一貫した執筆の目的でもある機能解剖や生理学を基盤としてのテーピングによる基本的治療法が,多くの図表や写真を用いながらもコンパクトに分かりやすく網羅されている.何より,部位別治療法ではテーピング前評価とその適応判断のポイントが明記され,リハビリテーションプログラムが病期別で段階を追って解説されることで,治療法を選択する際のクリニカルリーズニング(臨床的推論)を機能解剖や病態生理などの根拠に基づいて行うことが可能となっている.また,映像として実際に収録されている手技と解説は非常に分かりやすく,日頃から執筆者が臨床を重視して,多くの知識と経験に裏打ちされたテーピングを用いていることを伺うことができる.さらに,治療前の病態とテーピング治療後を比較した画像やチェックポイントの解説は,単にテーピング手技だけを羅列した本と比べて極めて秀逸である.このような映像の活用法は,今後もDVDを用いた臨床技術系の書籍が数多く販売されることになると考えられるが,是非とも見習うべきものである.
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