特集 筋再生と理学療法
運動,荷重,伸張が筋萎縮予防に与える効果とそのメカニズム
河上 敬介
1
,
縣 信秀
2
,
宮津 真寿美
3
Kawakami Keisuke
1
1名古屋大学医学部保健学科
2浜松大学保健医療学部理学療法学科
3愛知医療学院短期大学リハビリテーション学科
pp.581-590
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101444
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
機械刺激による筋の肥大や萎縮軽減
骨格筋は,様々な環境によってその大きさを変える,可塑性に富んだ器官である.例えば,長期臥床などによって骨格筋がほとんど使用されない環境に晒されれば,筋は萎縮する.一方,スポーツ選手のように毎日トレーニングを行っていると,筋は肥大する.では,骨格筋が肥大したり,萎縮したりする鍵はどこにあるのだろうか.
宇宙ステーションに長期滞在し,地球に帰還した直後の宇宙飛行士のことを思い浮かべてほしい.彼らの筋力は,立つことすらままならないほど低下している.彼らは,宇宙ステーションの中でハードなミッションを行い,さらにはトレーニングも行っている.地球上で,健康な成人が同じことを行っていれば,宇宙飛行士のような激しい筋力低下が起こることはない.宇宙環境下にいる宇宙飛行士と地球環境下にいるわれわれとで,何が違うのだろうか.この疑問に答えるための重要な鍵は,「重力」の有無である.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.