とびら
療育の本質
工藤 俊輔
1
1秋田大学
pp.379
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101405
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私が重症児の療育に携わって,今年で36年になります.学生時代に臨床実習で担当した「太郎君」という重症児の療育に関わったことをきっかけに,「でく工房」から始まった本邦の「障害児のいす」づくりの伴走者として活動してきました.1988年に日本リハビリテーション工学協会で第1回の「姿勢保持」論文集が発行され,姿勢保持具についてテクノエイドの立場からの研究が進められるようになり,さらに,1990年4月より,身体障害者福祉法が改正され,座位保持装置(シーテングシステム)として,小児のみではなく,成人の障害者も含めた形で「障害児(者)のいす」として公的給付がなされるようになりました.私自身もクッション材で作製した重症児のための姿勢保持具「プロンキーパー」,「バードチェア」を考案しました.おひさま工房・ゆう工房を通じて,両者を合わせると,これまで1,500台近く製作しご利用いただいています.
36年前は超早期療育が叫ばれ,どれだけ療育を早く始めるかがキーポイントでした.しかし,理学療法士として数多くの重症児の療育に関わり,早期療育のみでなく長期療育の大切さを実感するようになりました.この長期療育という言葉は,鳥取県立総合療育センター長の北原佶先生の受け売りですが,医療技術が進歩し,重度な障害のある子どもたちも社会の一員として成長し,大人になっていきます.3年ほど前,肢体不自由養護学校時代に自立活動の担当教員として関わった嵩宏君のお母さまからこんなお手紙をいただきました.
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